fuji public

山梨県富士吉田市で計画中の展望台+キオスクのプロジェクトです。

富士急行下吉田駅前の空き家が残る敷地に、民間とNPOによる街再生の一環として依頼された。富士山の裾野に広がる富士吉田は、地方都市共通の空洞化の課題を抱えながらも、背後の富士山の存在からか、豊かな水脈と岩盤、織物で栄えた昭和の街の面影など、どこかその問題から超越したような日常の中に演劇的な非日常性をたたえた不思議な魅力があった。音楽ユニット“フジファブリック”の創始者もこの街の出身である。彼らの詩や旋律に感じられる、叙情性・普遍性・変態性はわたしたちの計画とシンクロした。日常と非日常、プライベートとパブリックの境界が繰り返し反転する経験の重なりと、街での情景の重なりが、街のはずれに位置する駅前と街の気持ちを繋げていく。

設計は全体の構成を前提とはせず、風景のコンテクストと絡みながら空中に浮遊する散策の軌跡ーLineと、自然の摂理としての力の流れーLineを紡ぎながら、構造と非構造を等価に扱い、日常から類推される図像を織り込んでいった。合理的とも非合理的ともいえないこの作業は、作る人によって「見つけられた」ものが、見る人によって別な日常として「見つけられる」可能性を秘めている。完結的ではなく、そのようなものが繋げるイメージの切りのなさの先に、ここにしかない、人々のまなざしや経験によって少しずつ異なる図像として記憶されるような瑞々しい建築を立ち現したい。

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Fujiyoshida, Yamanashi

Gottingham

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